AIや外部サービスの障害時には、新しい実行を止め、実行中の結果を確認し、処理済みの案件を除いてから段階的に再開します。「復旧したので全部やり直す」という運用では、二重登録や二重送信が起こり得ます。
この記事では、FDEに業務のAI連携を依頼する担当者向けに、一時停止から復旧までの確認手順を整理します。図解・画面・チェック項目は86研究所が作成した説明用の例であり、顧客の障害事例や復旧時間の実績ではありません。
一時停止は「何を止めるか」まで決める
問い合わせを受け付け、AIで整理し、顧客管理へ登録する業務を想定します。AIの呼び出しだけを止めても、下流の自動登録や再試行が動き続ければ、意図した停止にはなりません。対象の工程と連携先を一覧にし、停止操作がどこまで効くかを確認します。
MicrosoftのCircuit Breakerパターンの解説では、失敗が一定の条件に達した際に外部サービスへのアクセスを一時的に遮断し、失敗しそうな呼び出しを繰り返さない設計を説明しています。これは自動的に呼び出しを抑える仕組みであり、担当者が業務を止めたり、手作業へ移したりする運用判断とは分けて考えます。
停止の条件は業務ごとに決めます。応答が遅い、連続して失敗する、想定外の出力が続く、といった兆候について、通知先、停止できる人、再開を判断する人をあらかじめ決めておくと、現場が迷いにくくなります。
受付・新しい実行・実行中の案件を分ける

- 受付:新しい依頼を受け取れるか。受け取るなら処理待ちであることを記録する。
- 新しい実行:AI呼び出し、登録、送信などを止める対象にする。
- 実行中:停止操作の前に開始した案件が残る。完了・失敗・結果不明を調べる。
停止ボタンは、すでに送ったメールや完了した登録を取り消すものではありません。また、受付を続ける場合は保留件数の上限や担当者の確認頻度が必要です。受け付ける仕組み自体が使えないときの代替窓口も、別途決めます。
実画面:停止中に来た案件を保留へ回す
次の画面は、本記事用のローカルWebデモを実際に操作して撮影しました。「新しい実行を一時停止」を押した後に、架空の案件を1件受け付けています。

このデモはブラウザー内の状態と件数を変えるだけです。AIや外部APIには接続せず、案件も永続保存しません。実行中の処理を止める機能や、復旧時の再処理機能を検証した画面ではありません。
実運用では、画面表示だけでなく、外部へ実行する直前の仕組みでも停止状態を確認します。複数の処理が同時に動く環境では、停止と実行開始が重なる場合の扱いも検証対象にします。
手作業へ切り替えるときに残す記録
急ぎの案件を手作業で進める場合は、自動処理の保留一覧と別々に管理しないことが重要です。次の情報を同じ案件番号にひも付ける運用を検討します。
- 案件番号と受付日時。
- 停止時の状態:未実行、実行中、結果不明、処理済み。
- 手作業を担当した人と作業内容。
- 登録先の番号や送信結果など、完了を確認できる情報。
- 自動再処理の対象に戻すか、対象から外すか。
例えば担当者が顧客管理へ手入力した案件は、復旧後の自動登録から除きます。登録先を確認できず結果が不明な場合は、未処理と決めつけてやり直さず、個別に照合します。詳しくは二重登録を防ぐ再試行の手順を参照してください。
再開前のチェックリスト
- 原因と影響範囲:どの工程が使えなかったか、設定変更や出力の誤りも含むかを整理する。
- 接続確認:本番データを増やさない確認方法から始め、対象の処理が使えることを確かめる。
- 結果不明の照合:すでに完了している案件と、手作業で処理した案件を再処理の対象から外す。
- 限定的な再開:確認可能な少数の案件から進め、登録先の結果まで追う。失敗が再発した場合の停止条件も決める。
- 保留一覧の見直し:期限切れ、取り下げ、内容変更がないかを確認し、必要な案件だけ再開する。
接続できたことだけで、業務全体が復旧したとは判断しません。AIの出力が正しいか、連携先へ反映されたか、重複がないかまで確認します。記録の設計はAI運用ログの確認項目にまとめています。
FDEへの依頼時には停止・再開の確認も成果物に含める
通常時の自動化フローに加えて、停止対象の一覧、操作できる担当者、連絡先、保留一覧、手作業の記録方法、再開の判断条件を合意します。検証環境では、停止後の新着、停止直前に始まった処理、結果不明の案件、手作業済み案件を用意し、想定どおり扱えるか確認します。
86研究所のFDE伴走支援では、業務整理からAI活用設計、ツール連携、実装・運用改善まで支援しています。止められない業務、停止しても待てる業務、手作業で代替できる業務を整理しておくと、相談時に優先順位を決めやすくなります。具体的な対応時間や保守範囲は個別に確認・合意します。無料AI業務診断はこちら。
執筆:86研究所/公開日・一次資料確認日:2026年10月19日。図解・デモは説明用です。